HOME > ELEMENTOPIA > 第03話 命の水,届かず



*サイドストーリー*

ウィンディーン北部を中心に干ばつの被害が広がっている。
特にドレイグ山脈の東域,ミリオーネ地方では,降水量が前年同期比7割以上減少し,
このままでは農業生産への影響は避けられない状況にあるという。

現在,都市と農村の生活供水の確保及び農業地区への優先的な供水を行い,
干ばつのもたらす被害を最小限に抑える努力をしているが,
広範囲の有効降水がない限り,被害はさらに拡大することになりそうだ。

ただ,昨日の王室発表によると,ミシュラ湖の水を北部地域へ輸送する 
計画が進んでおり,クリス女王も自らの声明で,
これ以上の被害は断固として食い止めるとの強い意思を示したとの事である。

【課題シナリオ】

深刻な干ばつ被害にみまわれているミリオーネ地方に対して,
ウィンディーン女王クリスの名で水の輸送計画が発表された。

ミリオーネ地方の南東側はウィンディーン領であるものの,
北西一帯はどこの国にも属さない中立の都市,村という事もあり,今回の輸送計画には,
他国の義勇兵や多くの支援団体が協力している。このまま無事に準備が進めば,
数日後には,救援物資と豊富な水がミリオーネ地方に届くはずだ。
そうすれば,干ばつの被害も少しは抑える事ができよう。

「それでは女王陛下,行って参ります。
 我が命に代えましても,無事に水を送り届けてみせましょう。
 数日内には,きっと良いご報告をお届け致します」

「参加する全ての人々にウィンディーンの加護があらん事を。お気をつけて」

作戦の指揮をとるグラハス将軍を見送ったクリス女王は,
何か言葉では言い表せない淀んだ感情が,
胸の中で蠢いているのを敏感に感じとっていた。
(この感覚は何……? それに,水の精霊が押し黙っている―― 
――いえ,違うわ。何者かの力によって抑えつけられている,
そんな感じがする。思い過ごし? だと,いいのだけど……)

輸送部隊からの連絡が途絶えたのは,それから3日後の事だった。

【今回の課題:「課題シナリオから展開させた場面描写」+「自陣の特徴」】
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